DRILL DESIGNの場合 <3>


Photo:Sohei Oya(Nacasa&Partners)


独自の背あたり。
「アーガイルバック」の誕生。


林:「アーガイル」は、「クレスト」をデザインした時にプロトタイプに座って感じた「立体的な背あたり」と「腰のあたり」がおもしろいんじゃないか、というところからスタートしました。



▲「Argyle」 / Photo:Takumi Ota


林:人間工学的にはヒトの背骨はS字カーブを描いていて、椅子の設計もそれをどこまで取り入れるかというのがあるんですが、そういう視点からみてもウィンザーチェアで腰のサポートができたら、クラッシックと現代の融合になるんじゃないかと思ったんです。アイディアとしては、スピンドルをクロスさせてその角度の具合で立体的な座り心地をつくっています。
ちょっと押されるような座り心地がいいですね。
林:直線を何本もつかってクロスさせていくと見えない曲面(曲面的な触り心地)ができるじゃないですか、それをヒントにしました。



▲「Argyle」スケッチ




▲「Argyle」デザイン検討のためにスタジオ内で製作される1分の1模型


安西:この椅子は、スピンドルの角度がすべてなので設計がとても大変でした。
図面上ではもちろんいろんなバリエーションが書けるけれども、実際の座り心地は座ってみないとわからないじゃないですか、そういう場合はいくつもプロトタイプをつくってもらうんですか。
安西:この椅子は図面で設計できるものじゃなくて、スタジオ内で1分の1の模型で背あたりを検証しました。スピンドルだけ木で削り出して、発泡材を削り出してつくった座面のモデルに突き刺して角度を検証するんです。さらに本を積み重ねて高さをつくって実際に座れるようにします。
すごい、そういう風に検証しているんですね。



▲「Argyle」座り心地検証の様子



▲「Argyle」最初の木製プロトイプ / Photo:FULLSWING


林:私たちは1分の1モデルを必ずつくります。実際のスケールでみることで雰囲気などもしっかりつかめる。背当たりを探るため、座高まで本を積んで座って、背の部分に丸棒の位置や角度を何度も調整して、これがいいかな?どうかな?とか言いながら背あたりを試しました。スピンドルを斜めに構成することでアーガイルのパターンが生まれ、この背もたれを僕たちは「アーガイルバック」って呼んでいます。
安西:ここが私たちのオリジナルのアイディア、という部分ができたんじゃないかと思っていて、次はもう少しクラッシックな構造で「アーガイルバック」をやりたいと考えています。
ドリルデザインならではのリ・デザインになっているわけですね!
安西:はい。ひとつ武器ができて、より伝統的なものでも勝負できそうな気がしてるんです。いまはまたいろいろ思考錯誤してます。







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