『ペーパートレイル』展-すべてのものは未来のためのプロダクト- 2025年9月5日(金)ー 11月24日(月)

くらしのなかで、自然と手に取られるモノとはどのようなものでしょうか。

情報があふれる現代において、私たちは日々、3万回を超えるともいわれる選択を無意識のうちに繰り返しています。その一つひとつの行動の背後には、身体の感覚や記憶に根ざした潜在的な心の動きが潜んでいます。

本展では、そうした人間の根源的な動きや日常の小さな気づきに目を向け、「からだの行為で考えぬいた道具」を生み出し続けてきたPOSTALCO(ポスタルコ)の思想とものづくりに焦点を当てます。世界中の人と人とをつなぐ、もっとも普遍的な媒体である「郵便」をモチーフにして始まったPOSTALCOは、小さなメモ帳から家具に至るまで、その視点をくらしに紐づくさまざまなプロダクトへと広げ、かたちにしてきました。

 

「どんなデザインも、きれいに整理された完全無欠の空間からは生まれてこない」

―書籍:『霧の中の展望台』より

 

彼らがそう語るように、本当に意味のあるかたちは日々の混沌や違和感の中にこそ潜んでいます。その感覚に静かに寄り添いながら、いつもの視点を少しずらしてみる。すると、見慣れた風景や道具がまったく新しい意味を持ち始めます。

無印良品もまた、時代の中で「あたりまえ」とされてきたことが、必ずしも正解ではないと考えています。ほんの少し形を変えるだけで、新しい使い道が生まれること。これまで捨てられていたものにも、異なるかたちで活用の可能性があること。「常識」を問い直しながら、視点を少し変えることで生まれる新たなくらしの整え方を提案するものづくりを続けてきました。POSTALCOと無印良品のものづくりには、どちらも日々のくらしのなかでの「気づき」を原点とする共通点があります。

時代がどんなに変わっても、人のくらしや幸せの本質は変わりません。自然や万物とのつながりを感じながら、健やかで満ち足りた日々をいかに築いていけるか。本展が、くらしの中に潜む心地よさや、「見かたを少し変えてみる」ことで広がるささやかな喜びのヒントとなることを願っています。

 

ATELIER MUJI

 


View point

本展の「Paper Trail」というタイトルには、すべてのものが未来の何かのプロトタイプであるという考えが込められ、会場には、彼らのものづくりの原点を象徴するクリエイティブ・プロセスの起点の紙が、1本の長い紙によって表現されています。

そこには、プロトタイプや完成品、そして普段見過ごされがちな日常のものたちが並び、実験と遊び心、実用性が交差する視点で構成され、紙を辿るように未来の解決策を自由に想像できる空間となっています。


 

時間:
11:00 ─ 21:00
*営業時間・休館は、店舗に準じます。
*会期や時間などの予定変更、またはイベント等によって展示品の一部がご覧いただけない日時が発生する場合がございます。

 

開催場所:
無印良品 銀座 6F ATELIER MUJI GINZA Gallery1・2
入場無料

 

関連イベント:
本展覧会中は、イベントの開催を予定しています。
詳細やお申し込みについてはATELIER MUJI公式ウェブサイトやSNSで随時お知らせします。

 

主催|株式会社良品計画/企画協力|POSTALCO DESIGN STUDIO /空間デザイン|Office Yuasa/グラフィックデザイン|SHIMA ART&DESIGN STUDIO /施工|HIGURE 17-15 cas

 


【関連書籍発売】

『霧の中の展望台』

著者名|マイク&友理・エーブルソン
定価|税込4,400円(本体4,000円)
ISBN|978-4-910462-27-1
出版社|BON BOOK
企画+編集|櫛田 理
編集|乙部恵磨
アートディレクション|エーブルソン友理
ドローイング|マイク・エーブルソン
デザイン|島田耕希、小島沙織
翻訳|サム・ホールデン
写真|小川尚寛、ジェイソン・フルフォード、タマラ・ショプシン、井上昌明、高崎晃次
製本監修|岩瀬 学
印刷製本|TOPPAN クロレ株式会社
制作+取次|FRAGILE BOOKS
販売協力|無印良品 MUJI BOOKS
協力|POSTALCO
*限定3000部
*2025年9月5日より無印良品 銀座で販売開始予定。その後、順次全国のMUJI BOOKS売り場で販売開始。