Vayeda Brothers

ARTWORKS

SEEDS
510×660×22mm

VEER
510×660×22mm

「ワルリ族の人々は、古くから絵画の手法で物語や神話を描き、その記憶を現在にまで受け継いできた。幾何学的、或いは自然で有機的な輪郭をアルファベットの如く用い、絵画を元素とする形式でスクリプトを仕立てる。これは異なる視点から物語を綴り直す、新たな伝達形式である。

SEEDS ―生命の種の創造者―
ワルリ族の民話の中で最も人気のある物語は、天地創造にまつわるものである。これはほかの多くの物語にも関連する神話で、この作品は種の創造を描いている。作品中の人物は、天地の創造主と崇められているMAHADEVとGANGA GAURIの二人。彼らは地球を創る決意をし、新たな生命 ―生物、植物、水、土― の種を集め、育てたそうだ。地球上のありとあらゆる存在は、すべて小さな種から生まれるという奇跡的な事実を、感じ取ってもらいたい。

VEER ―先祖たちの彫像―
「Veer」は、家族が先祖の霊を弔うためにつくる木製のトーテム。この作品の由来は、ワルリ族に古くから口承されてきた先祖の霊にまつわる物語で、部族の伝統と神話を探求する思いで描いた。近代化の進む今日では、ワルリ族の中でもVEERづくりの行為自体、希少である。満足に死ぬことが出来なかった人の魂は、現世に置き去りにされ彷徨うと考えるワルリ族の人々にとって、このトーテムづくりは、祖先の魂を満たすために必要なプロセスである。残された家族は、彷徨う魂を弔うため、VEERをつくり、畑の近くに祀り、先祖に思いを馳せる。この作品では、伝統的なトーテムづくりの過程とその世界観を、ワルリの伝達形式(絵画)で表した。自然はワルリの神、そして信仰そのもの。その過程はワルリ族の人々とそのルーツを結びつけている。魂の拠りどころ、生命の循環という永遠のテーマを自然という大きな器の中に見出して欲しい。

TUSHAR Vayeda(right) トゥシャール・ワイエダ(右)
1987年インド、ガンジャード生まれ
2014, 3D animation & multimedia .University of Mumbai (Arena Academy)

MAYUR Vayeda (left) マヨール・ワイエダ(左)
1992年インド、ガンジャード生まれ
2016 MMSin Marketing Management. University of Mumbai
2013 BMS in management studies. University of Mumbai

2人はインドの少数先住民族「ワルリ族」。幼少期、豊かな自然とワルリ族の自然崇拝文化の影響を受けて育つ。
大学は大都市ムンバイに進学するが、毎日片道数時間の通学列車に揺られてもムンバイには引っ越さなかった。
近代文化や都市生活を経験し、ワルリ文化、ワルリアートの素晴らしさに改めて開眼した2人は、 大学卒業後もガンジャード村に残り、ワルリ文化、そしてワルリアート継承と発展に尽力している。