『くらし中心ー「かたがみ」から始まる 』part2 「着る」と「作る」と「かたがみ」展 2013年6月14日(金)ー7月21日(日)
型紙展
型紙という言葉は、私たちの日常生活の中では衣服について語られることが最も多いかもしれません。身の回りの小物からウエアまで、手作りするならまず型紙を入手しようとすることが自然に行われ、既製服の領域では型紙あっての量産が常識とも言えます。
20世紀前半に今私たちが原型と呼んでいる「服の型紙」が市民生活に定着し、ドレスメーキングという言葉とともに日本でも家庭裁縫が盛んになっていきます。1960年代後半からの世界共通の同時代感覚–ファッション、ミュージック、アート、デザインの領域にわたってーの波の中から、日本のクリエイティブなデザイナーたちの仕事が顕在化して世界の注目を集めました。そこには東洋の着方や、服に対する自由なアプローチがあり、西欧の伝統に立つ”型紙・裁断・縫製”の系譜の枠外の服作りも見られます。
本展は近過去の服装史を受けつぎつつ、現在の服にとって型紙とは何だろうと問いかけます。定型の型紙を楽しむ方向、型紙は必要かとの問いかけ、先端的な発想から服を分析する提案。いずれも「着る」と「つくる」の間にある行為と思索を形に置きかえる試みとなっています。
学びの現場として
もの作りは、アイデアと素材があれば―ANYWHERE―どこでも―ANYBODY―誰でもできること。そして―HOW―どのように形をとるかという所で型紙が登場します。本展では、どのようにという考えを深めていくことを衣服デザインの専門教育の先生方と学生のみなさんと進めてきました。
武蔵野美術大学の造形学部には、空間演出学科にファッション専攻のゼミナールがあります。建築、インテリア、環境デザイン、舞台美術、などの多様な研究・研修と共にあるファッションデザインの勉強は、衣服を隣接する様々な領域との関連の中で捉えるという点で示唆に富んでいます。また実際の社会の中で、研修している主題の作品を発表したり批評を得たりという体験を得ることは学生にとっては新しい光の差し込む天窓と言えるかもしれません。
ATELIER MUJIは展覧会場というよりラボラトリーとして何かが生まれる実験場であり、学ぶ喜びのある現場でありたいと願っています。本展を訪れてくださった方々と武蔵野美術大学のプロフェッショナルと私たちの出会いから新しい動きが生まれることを期待しています。
時間:
10:00 – 21:00
開催場所:
無印良品 有楽町 2F ATELIER MUJI
入場無料
主催:無印良品/企画:くらしの良品研究所/運営:無印良品 有楽町 ATELIER MUJI/監修:小池一子/企画協力:武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科研究室/デザイナーズ:天野勝(同大教授)、津村耕佑(同大教授)、パトリック・ライアン(同大教授)/協力企業:A-net Inc. FINAL HOME/グラフィックデザイン:新村則人(新村デザイン事務所)